画像診断サービスは、依頼する側と受ける側の双方に法的責任が課せられています。患者さんの診断確定や治療方針の決定に大きく関わるからこそ、責任は厳しく問われるのです。ここでは画像診断医が負う法的責任とサービスを利用する際の注意点を紹介します。
画像診断サービスは「遠隔画像診断に関するガイドライン」が定められており、そのガイドラインに従って画像診断を請け負う・依頼する必要があります。
以下が、画像診断サービスの法的責任や画像診断医としての適した受け入れ態勢などです。
画像情報を検査が施行された施設とは異なる施設の医師が診断することは、遠隔画像診断だけに限定される状況ではありませんが、診断に関与する程度や頻度も様々な遠隔画像診断においては、画像診断の業務の委託に関わって生じる問題は避けられません。以下の2点に要約される問題は代表的なものです。
(1)遠隔画像診断医の立場
遠隔画像診断医は検査が施行される医療施設の外にあって専門的知識を提供。患者に対しては、遠隔画像診断医は専門家として善良なる管理者の注意義務を負い、読影によって不法行為責任(民法 709 条)を患者に対して負う場合があります。また、委託を受けた主治医に対しては契約責任(民法 415 条、614条)を別途負うことになります。
(2)画像診断医の法的責任とは何か
不法行為責任及び主治医(読影依頼医)に対しての契約責任として、損害賠償義務を負います。専門家としての善良なる管理者の注意義務とは、診療当時の放射線画像診断医の医療水準であって、具体的には各種ガイドラインや当時の刊行物、事後的なピアレビュー(裁判上の鑑定など)によって規定。また、主治医との契約責任は、その義務は契約内容に依存します。
遠隔画像診断においても医療施設内での医療行為と同様に医療行為として要求されている基本的な条件を満たしている必要があります。それは以下の3点です。
(1)画像診断業務の一般的な最低限の必要条件を満たしていること
緊急に治療を要する所見を見つけた場合には、直ちに業務委託した医療施設や担当医に直接連絡する態勢を整えていること、また定期的な意見交換などにより、偶発所見が適切に伝達され対処されていることを確認する仕組みを備えていることが必要です。
(2)診療情報管理の体制を明確にしていること
具体的事項については本ガイドラインで後述するが、診療情報管理の基本的な方針をもち、その方針に基づいた体制により、実際に運用に問題が生じた場合の対処法について検討していることが必要です。特に診療情報管理の基本的な方針については文書化していることが必要。
(3)個人情報の適正な取り扱いが行われていること
個人情報の保護に関する法律および種々のガイドラインに照らし合わせ、個人情報保護の配慮が必要です。特に「患者への医療の提供のため、他の医療機関等との連携を図る」という院内提示等による公表が望ましいでしょう。患者から明示的に留保の意思表示(opt out)がなければ、患者の黙示による同意があったものと考えられます(2)。
主治医として画像診断サービスを依頼するときにまず大事なのは、信頼できる画像診断医を見つけることです。
画像診断は、医療行為として位置づけられています。診断確定や治療方針の決定に大きく関わっているため、画像診断医の診断ミスがあった場合、患者の生命をも左右してしまいます。読影専門の医師としてどれぐらいの経験があるのか、そしてどれぐらいの実力を持っているのかを確かめる必要があるでしょう。
また、情報管理体制の構築も大切です。患者の大事な情報をデータとして共有するため、適したセキュリティ体制がとられているかも確かめて依頼しなくてはなりません。
遠隔画像診断サービスは、読影を専門として知識も経験も豊富な医師が請け負うべきものです。主治医として遠隔画像診断を依頼する際は、確かな経験があるのか、そして適した環境で画像診断が行えるのかなどを確かめたうえで依頼しましょう。
以下ページでは、遠隔画像診断サービスの基礎知識・その他関連情報を紹介しています。これから遠隔画像診断サービスを依頼したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
重要所見を見落とす主な原因と防ぐ方法を解説しているほか、遠隔画像診断サービスにより重要所見を拾い上げられた事例を掲載しています。
一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会に所属する企業委託型の遠隔画像診断サービスを対象として調査を実施(※1)。遠隔画像診断サービス選びにおいて欠かせない「品質・信頼性」「セキュリティ」「対応時間」という3つのポイント別に、おすすめの遠隔画像診断サービス提供企業を紹介しています。
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調査時期:2022年11月~12月時点/下記条件に沿って調査・選定
調査対象:一般社団法人遠隔画像診断サービス連合会(ATS)に所属する正会員55社のうち、公式HPにて遠隔画像診断サービスの詳細を確認できた27社(病院連携型を除く)
【選定条件】
(1)品質・信頼性:調査対象の中で、二次読影とレポートチェックを実施しており、登録読影医の個別情報(経験年数・資格・領域等)を唯一公開していたワイズ・リーディング
(2)セキュリティ:調査対象の中で、保健医療分野のプライバシーマーク(MEDIS)取得情報と、データセンターの多重拠点化情報(災害対策)を唯一確認できたセコム医療システム
(3)対応時間:調査対象の中で唯一、遠隔画像診断の依頼受付・当日返却を24時間・365日体制で実施している情報を確認できたドクターネット